譲渡制限の有無を決める

アナタが会社を設立する際に、株式の譲渡制限を決めることができます。現在、株式を好きなように売買できる会社と、売買するには承認が必要な会社(株式非公開会社)の2種類が存在します。証券取引場に上場している会社は前者にあたり株式を自由に売買できる会社にあたります。譲渡制限の有無を決めるために株式譲渡制限会社のメリットをいくつかご紹介します。

 

経営上のトラブルを未然に防げる

株式譲渡制限を設定すれば経営上に起きるトラブルを未然に防ぐことができます。

譲渡に制限を付けることができるので望まぬ第3者からの介入万が一の保険作り株式の不要な分散を防ぐことができます。

 

望まない人物からの敵対買収に備えなくて済む

株式譲渡制限会社として設立すれば望ましくない第三者の手に、自社の株式を渡ることを防ぐ事ができます。近年だと大手IT企業がラジオ放送局を買収しようと仕掛けてニュースを賑わせたのを覚えている方も多いのではないでしょうか?

 

望まない人間が株式を取得して経営に関わりだすと事業をスムーズに行うことが難しくなります。同業者や会社に相応しくない人物からの買収に備えての準備も必要になります。株式譲渡制限会社ならば外部からの介入を考慮しなくてよくなるので事業に専念することができます。

 

黄金株を持つことができる

重要な議案を拒否することができる特別な株、”黄金株”を所持することができるので”もしも”の際に万全のそなえができます。これは拒否権付きの株式と言うことができます。株式譲渡制限会社では経営に相応しくない人間を排除することができますが、相続をきっかけに株式の比率がかわり会社乗っ取りが起きた事例もあるので、万が一の保険も用意することができます。

 

相続などで自社の株式が分散してしまうことを阻止できる

定款に定めておけば遺産相続などで転移してしまった株式を、相続人から買い戻すことがきます。

 

例えば「共同で会社を作り上げた友人が不慮の事故により他界、相続人は社会経験が少なく会社経営に関わらせるのには相応しくない」と言った場合に買い戻すことがでます。相続日から1年以内に行使すれば売渡請求をできます。売買価格は両者の話し合いで決めますが、難航した場合は売渡請求から20日以内ならば裁判所に価格決定をお願いすることができます。

 

有限会社が担っていた機能の代わりを果たすことができる

有限会社の代替手段として使うことができます。昔は中小企業向けに有限会社設立が存在しましたが、2006年5月の会社法施行時に制度が廃止されました。現存する有限会社のみ特例有限会社として存続しています。株式譲渡制限会社ならば有限会社が持っていた機能の代わりを果たすことができます。

 

役員の任期を最大10年まで可能

株式譲渡制限会社ならば中小企業向けの会社法が適用されるので役員の任期を最大で10年まで延長することができます。通常の株式会社だと取締役は2年監査役は4年です。登記手続きの煩雑さとコストをある程度、抑えることができます。役員任期が存在しなかった有限会社の機能をある程度、再現することができます。

 

取締役会を設置しなくても大丈夫

株式譲渡制限会社は取締役会の設置義務がありません。株式公開会社ならば取締役会を設置しなければなりません。取締役会を形成するには取締役が3名以上、監査役が1名以上必要になります。株式譲渡制限会社ならば有限会社と同様に取締役が一人以上いればOKなのでスムーズに運営することができます。

 

請求がなければ株券を発行しなくてよい

株式譲渡制限会社では株主から請求されなければ株券を発行しなくてよいのでコストを抑える事ができます。これは株式非公開の中小企業が株式を譲渡することがほとんどないからです。現状を反映して株券発行会社だとしても、請求がこない限り未発券で大丈夫になりました。

 

譲渡制限株式会社ならば有限会社が担っていた機能の大部分を再現することができます。「有限会社を作りたかったのに…」と考えている方に、譲渡制限株式会社は最適な選択といえるでしょう。特に中小企業には大きな効果を発揮することが期待できます。

 

譲渡制限は会社が成長した後に取り外すことができる

会社が軌道にのり、外部からの資金募集を開始したい時には株式式会社に変更することができます。必要な手続きを踏んで株式譲渡制限を外せば可能です。上場審査の目処がついた段階で譲渡制限を定款から削除することになります。世界中の投資家から資金を集める事ができるようになります。

 

以上が株式譲渡制限会社のメリットです。株式の譲渡制限を定めれば不要な敵対行為に対して鉄壁の体制を敷くことができます。廃止されてしまった有限会社の代わりに機能を利用することができます。資金集めのために上場したくなった場合は公開株式会社に変更することができます。これらの事例を会社設立の際に譲渡制限を付加するか否かの参考になれば幸いです。